オンラインサーベイで解き明かすインドの消費者像

インドの急速な経済発展と新興中間層の台頭

インドは近年、目覚ましい経済発展を遂げています。2022年の国内総生産(GDP)成長率は6.8%と高水準を記録し(世界銀行データ)、2047年までに世界第3位の経済大国になると予測されています(PwCレポート,2017)。この経済発展を支えているのが、新興の中間所得層の存在です。

中間所得層は可処分所得の増加に伴い、消費を主導する存在となっています。消費財やサービスへのニーズが高まり、多様な消費スタイルが生まれています。しかし、この新興中間層の行動パターンや価値観は従来の富裕層とは異なり、独自の分析が求められます。

広大な国土と多様性に富む消費者像

インドの消費者像を一言で語ることは難しいのが現状です。これは、広大な国土と人口に加え、宗教・言語・文化の多様性が根付いているためです。

例えば、北部と南部では気候や食文化が大きく異なります。さらに都市部と農村部でも消費者の嗜好や行動パターンにずれがあります。また、所得格差による消費スタイルの違いも無視できません。

このように、インドの消費者は一枚岩ではなく、細分化が必要不可欠です。従って、適切な分析手法の選択と、確度の高いデータに基づく考察が重要となります。

オンラインサーベイの活用が鍵

伝統的な対面調査では、このようなインド市場の多様性を的確に捉えることは困難です。そこで、ジェットリサーチではオンラインサーベイを積極的に活用しています。

オンラインサーベイのメリットは、以下のようなものが挙げられます。

広範囲の地域・層からの回答収集が容易
スピーディーかつ効率的なデータ収集が可能
コストを抑えられる

さらに、近年のインドにおけるスマートフォン普及と、インターネット利用者の爆発的な増加により、母集団サイズが格段に大きくなりました。これにより、オンラインサーベイを用いた消費者調査の有効性が高まっています(IAMAI報告書, 2021)。

つまり、オンラインサーベイを戦略的に活用することで、インド市場の複雑で多様な実態により迫ることができます。

(統計データの参考資料)

World Bank国別データ:https://data.worldbank.org/country/india
PwC The World in 2050: https://www.pwc.com/world2050
IAMAI報告書「インディアインターネットレポート2021」:https://iamaiindia.in/

ジェットリサーチのインド消費者に対する知見について

ジェットリサーチは、インドを本社とする、エンターテインメントテックの大手であるジェットシンセシスグループの一員です。ジェットシンセシスは長年にわたってゲームや音楽、フィンテック、マイドフルネスアプリなど様々なインドの消費者向けサービスを提供してきた経験があります。我々からみた最近のインド消費者の特徴の一例を以下に示します。

若年層の価値観の変化
- 伝統的な家族観や宗教観から脱却し、個人主義的な傾向が顕著。都市部の男性で顕著。
ブランド選好の多様化
- 所得水準が上がるほど、グローバルブランドへの関心が高まる。しかし、一部の食品や生活雑貨ではローカルブランド志向も根強い。
環境意識の高まり
- リサイクル意欲や環境配慮製品への支持が、中間所得層を中心に広がりをみせている。

フィンテックサービスの浸透
- デジタル決済の利用が加速。とくに若年層での普及が目覚ましい。一方で、キャッシュレス化への不安も存在。
ECの急成長と課題
- スマホECが急拡大する一方、サイバーセキュリティへの不安が高い。ロジスティクスの課題も残る。

このように、インド消費者には多様な価値観や行動パターンが共存しています。上記は一例ですが、オンラインサーベイは、そうした多面的な実態を捉えるのに適した手法と言えます。

信頼できるインサイトを導き出すために

しかし、知見だけでなく、ジェットリサーチではインサイト抽出のプロセスにも注力しています。

調査票設計の工夫
- 現地事情に精通したリサーチャーによる質問項目の吟味、適切な言語使用など。
サンプリングとウェイティングの徹底
- 母集団代表性を高めるため、地域・年齢・所得などをコントロールした上で、ウェイティング調整を施す。
インド現地スタッフによる質的調査との組み合わせにより、数値だけでは補足しきれない背景事情の把握に努める。

こうした体制を整備することで、インドの多様性を反映した質の高いインサイトを導き出せると考えています。

インド市場参入をお考えの企業様へ

インドは魅力的ながらも複雑な市場です。新規参入を検討する際は、的確な市場分析が不可欠でしょう。

ジェットリサーチは、インドに本社を置く調査会社として、現地の事情に精通しています。オンラインサーベイを柱とした科学的なアプローチで、インド消費者の実態を多角的に捉えることができます。

これまでに蓄積した調査ノウハウを存分に発揮し、皆様のインド事業の促進に貢献できればと考えています。お気軽にご相談ください。